〜気が重い管理組合の内紛問題〜

マンションの区分所有者になった経験のない私にとって、
マンションを巡るトラブルの多くは、
弁護士になってはじめて知るものでした。
その中でも、
法的なルールはあるにしても特に根本解決が難しいと感じる分野は、
『管理組合の内紛』です。

弁護士に相談にくるほどですから、
きっといろいろな積み重ねがあって、
もはや収拾のつかない状態に陥っているのでしょう。
「あの理事長だけは許せない。態度が気に入らない」
と怒りに声を震わせる理事。
険しい顔で
「次の総会でなんとか対立候補を擁立して現理事会をひっくり返したい」
と計画を練る住民グループ。
そうかと思えば、
「理事会運営に協力しない一部の役員に強力な制裁を加えたい」
と大真面目に語る理事長。

もうこうなると法律問題というより、一種の政治的抗争です。

さて、私はといえば、
正直に言ってこのような内紛問題は気が重いのです。
法律ではこうなっていますよ、という説明はできても、
それがトラブルを助長する方向に働くように感じることもしばしば。
相談者のほうも、政治的抗争の「武器」として
弁護士の助言を利用しようとしていると感じることもあります。

最後は
「まあそうはいっても、住みやすいマンションにするためには
上手に仲良くやるべきですよ」
などと、ちっとも法的ではないアドバイスになってしまうことも。

事務所のある横浜・山下町周辺には、
最近たくさんのマンションが建てられています。
外国の街角のような洒落たエントランス。
海に面した出窓に、鮮やかな花壇。
「港・ヨコハマの潮風に吹かれて住まう」
なんていうキャッチフレーズは、
とても魅惑的な響きです。

しかし、そんな瀟洒(しょうしゃ)なマンションを見上げながら、
「素敵だけど、でもね、管理組合って大変なんだよね・・・」
と、ぼそっとつぶやく私です。

区分所有者になる勇気は今はまだ持てそうにありませんね。





■筆者プロフィール■
弁護士:河住志保(かわすみしほ)
横浜開港法律事務所
平成12年10月弁護士登録。慶応大学法学部卒業。山梨県身延町出身
石川法律事務所、横浜マリン法律事務所を経て、独立
主に少年事件や子どもの権利・法律問題、マンション問題に取り組んでいる
◆関連サイト◆
横浜開港法律事務所 http://www.kaikou-law.com/