〜マンションの知識ない(?)裁判官、
管理組合もビックリ、ガックリ〜

マンションの裁判を起こしても、
裁判官が必ずしもマンションに関する知識があるとは限りません。

共用部分の使用方法がめちゃくちゃな迷惑居住者を
管理組合が訴えた裁判でのこと。
だいぶ争点も煮詰まって、裁判も終盤に差しかかり、
ついに尋問の期日がやってきました。

証言台に立った理事長に対し、
双方の弁護士が言い分の食い違う部分を中心に
主尋問と反対尋問をして、
いよいよ裁判官の補充尋問。
最終的に判決を出す裁判官がどんなことを気にかけているのか、
この尋問で察しがつくこともあって、集中しなければならない場面です。
関係者全員が、固唾を呑んで裁判官の質問に聞き入りました。

すると裁判官。
「ところで、理事会って何ですか?」「規約って何ですか?」
などと質問しはじめたのです。
これには私も当事者もみんなビックリ。
そして、管理組合の役員はガックリ。

結局、争点となっている部分についての
裁判官の質問はほとんどないまま、
尋問が終わってしまいました。

尋問終了後、
理事長は「裁判官はマンションの法律のことを知っているんでしょうか?」
と不信感をあらわにし、
逆に共用部分を自分勝手に使っていた迷惑居住者は、
ふてぶてしくニヤッと笑って法廷を去っていった(?)ように見えました。

もちろん裁判官の真意はわかりません。
もしかして理事長が正確な知識を持っているかどうか
試したのかもしれませんし。
それにしてもいったいこれからこの裁判はどうなっていくんだろう、
と不安に思っていた矢先、裁判官の異動シーズンに突入。
この裁判の担当裁判官が変更になりました。

今度はマンションの紛争にとても理解のある裁判官の登場。
法的には管理組合が正しいことを前提にしながらも、
今後も同じ建物で暮らしていく住民の間に禍根を残さないよう、
上手に和解を進めてくれました。
このままだと最高裁まで争うことになるんじゃないかと心配していた紛争は
急展開をみせ、予想外に和解で円満に解決しました。

裁判官によって裁判の展開が変わる、
というとちょっと言い過ぎかもしれませんが、
でも実際、そう思うこともあるんですよ。





■筆者プロフィール■
弁護士:河住志保(かわすみしほ)
横浜開港法律事務所
平成12年10月弁護士登録。慶応大学法学部卒業。山梨県身延町出身
石川法律事務所、横浜マリン法律事務所を経て、独立
主に少年事件や子どもの権利・法律問題、マンション問題に取り組んでいる
◆関連サイト◆
横浜開港法律事務所 http://www.kaikou-law.com/