管理会社フロントマンが語る珠玉のエッセイ

〜規約改正、住戸の事務所使用はどうする? の巻〜

部下の担当する管理組合で、各住戸の用途を住居用以外はダメ、
つまり事務所使用をやめさせようという話が持ち上がりました。

これまで何の決まりもなかったので、管理規約を改正するのに、
この際、ちゃんと「住居専用」を強調しようと、
そういう流れになったんす。

案の定、というか、
ここで個人タクシーを営んでいるAさんから、クレームが出てきました。自宅を事務所としてタクシー協会に登録しているから、
事務所扱いを認めてもらわなけりゃ困る・・・。

管理組合が、なんで「住居専用」にしたいかというと、
事務所だと夜間の不在や、不特定多数の人の来訪などという
防犯上の不安があるからなんです。

マンションも築年数が進むと、部屋を貸し出して外に住む人が増え、
そんな不在区分所有者が不動産屋任せで事務所使用OKとしていたら、
最悪やくざが出入りするようになってしまった、なんて・・・
何でもあり、になっちゃう可能性もあるんです。
そういうことを前もって防ぐためには、
やっぱりルールを作ってしばりをかけておいたほうがいいでしょ?

マンション標準管理規約では、
専有部分の用途(第12条)について、
「専ら(もっぱら)住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」
と定めています。
その「専ら住宅としての使用」とは、
「生活の本拠」であるかどうかで判断するとコメントに書かれています。

こうしてみると、
個人タクシーのAさんは、まずそこに住んでいるんだから問題ないわけなんです。
近年、SOHOといわれる事業者、
例えばインターネット関係者、株式投資家などの在宅ワークの人が増えてきました。
Aさんと同様、自分の立場が良いのか悪いのかがわかるよう、
住居と事務所の概念をしっかり明確にしておきたいっすね。

ちなみに、部下の担当管理組合では、
管理規約に「専ら住宅としての使用」の条文を加えるほか、
玄関扉や集合郵便受け、共用廊下に企業名を表記しない、
看板を出してはいけないなどの約束ごとも決めました。
そもそも共用部分は好き勝手にイジッちゃいけないんですが、
ときどき何も知らない理事長が、
「いいでしょ、いいでしょ」と何でもOKしてしまうこともあるんです。

管理会社がからみれば、それが一番頭の痛いところっす。
だって、後で細かい理事長になったときに、
怒られるのは私たちなんですから(>_<)。





■筆者プロフィール■
黒木 浩(仮名)
昭和36年生。大学卒業後、大手管理会社に就職。将来を有望されるも、一身上の都合で退職。現在は小管理会社で社長の片腕として活躍する。昔から理事会後に「泊まっていけ」と酒に付き合わされるタイプ