管理会社フロントマンが語る珠玉のエッセイ

〜 フロントマンって何者なの? の巻き〜

「えぇーっ!」と思いました。

私の担当マンションの理事の奥様が、
「かながわマンションライフを読んでるけど、フロントマンって何のことか分かんない。
管理会社の人って管理員さんのことじゃないの?」だって。

じゃ、私を何だと思っているのかと聞くと
「え?設備とかの点検の人じゃなくて?」。

ザンネ〜ン!切腹!

フロントマンとは私のことで、
このコーナーも私が担当しているというのに…。

改めていいますが、
私、管理会社のフロントマンは、
理事会や総会運営への助言、滞納者への督促、外注業者のチェックなどの役目を担う、
いわばアドバイザー兼小間使いであります。
自負を持っていえば、
「みなさまが安心して生活されていらっしゃるのは、この私がいるからなのでぇぇすっ!」。

例えば、昔私が担当した、あるマンションでのこと。
建物は老朽化し、大規模な修繕をしないといけない状況でした。

ところが当時の修繕積立金は月額500円。
当然工事資金などありません。
さらに区分所有者はお年寄りが多く、修繕の「し」の字さえ受け付けない様子。
「自分は老い先短いからそんなことはどうでもいい」なんて。

けれど根気強く説得を続けていくうちに、
一人、二人と、私の話に耳を傾けてくれるようになってきたんです。

「壁が腐って落ちたら、ケガ人が出ますよ」とか、
「財産価値がなくなりますよ」といった話をね。

粘り強く説得して、やっとの思いで積立金を6千円に値上げ。
それでも工事費には全然足りないから借り入れの準備もしました。

で、数年がかりのゴーサイン。
それが出たときの達成感といったら、とても言葉ではいい表せられないなあ。
工事が終わった後、
それまで渋い顔しかみせてもらえなかった理事長さんが、
缶ビールを買ってきてくれて…。

満面の笑みを浮かべながら、チョンと缶を合わせて、
小さく乾杯!

これはほんの一部に過ぎませんが、フロントマンの仕事の一端です。




■筆者プロフィール■
黒木 浩(仮名)
昭和36年生。大学卒業後、大手管理会社に就職。将来を有望されるも、一身上の都合で退職。現在は小管理会社で社長の片腕として活躍する。昔から理事会後に「泊まっていけ」と酒に付き合わされるタイプ