管理会社フロントマンが語る珠玉のエッセイ

〜習うより慣れろ、当たって砕けろ の巻〜

とりわけ厳しい職業は3K(危険、キツイ、汚い)と呼ばれますが、
私に言わせると、マンション管理業のフロントマンは
3K以上だと身にしみています。
危険、キツイ、汚い、苦情、苦情、苦情、苦情・・・
10Kといっていんじゃないでしょうか、ほんとに。

業務内容は、管理組合のシロートの方々(失礼!)
との折衝すべてにありますが、
でもね、中でも最も多く、すごく大変なのは
住民同士のケンカや
ちょっと頭のいかれた住民からの苦情処理なんですよ、ったく。
あ、また失礼しました。
でも、はっきりいって年間を通してストレスは溜まりっぱなしです。

時には電話が鳴って事務の女の子から
「Aマンションの○○さんからです」と言われた瞬間、
心にもないのに(心にあったかも?)、
「あのじじいか、うっせーな」と声に出しながら受話器を取ってしまい、
あとで女の子から「聞こえてたらどーすんですか」
と怒られたこともあります。

一般的にどんな職業に就く場合でも、
最初は研修期間のようなものがありますが、
多くの管理会社では2日くらいの形式だけの研修を終えると、
右も左も分からない状況で
いきなり50戸程度のマンションを受け持たされたりするんです。

習うより慣れろ、当たって砕けろ、ということです。
中には文字通り砕けてしまう人もいるから、離職率が高いことも特徴。
若い後輩が管理組合の年配の男性に理不尽に怒鳴られたりすると、
正直、あとでどうフォローしようか考えてしまいますよ。
こっちだって普通のサラリーマンですからね。

しかし人間とは不思議なもので、
5年ほど経つとこのような辛い仕事にも慣れてしまいます。
長年勤めている人の中には、
総会などで波風が立つことを内心で楽しみにしている人さえいます。

私がそうなる?そうなってるかもねえ、
組合さんのおかげで…。




■筆者プロフィール■
黒木 浩(仮名)
昭和36年生。大学卒業後、大手管理会社に就職。将来を有望されるも、一身上の都合で退職。現在は小管理会社で社長の片腕として活躍する。昔から理事会後に「泊まっていけ」と酒に付き合わされるタイプ